クルアーニー/ランゲル-セント・イライアス/グレーシャー・ベイ/タッチェンシニー-アルセク(アラスカ・カナダ国境地帯の山岳公園群 - アメリカ合衆国/カナダ ダイナミックな景観、白雪と黄葉の色彩美
カナダ北西部からアラスカ南東部に広がるこの一帯は、世界最大規模の自然保護区で、氷河期からの自然美がそのままに残されている。数多くの高峰と無数の氷河に、ツンドラやタイガなど手つかずの自然環境は、グリズリーやハクトウワシなど野生動物の楽園となっている。
世界遺産を構成するひとつ、「クルアーニー国立公園」には、標高5959メートルでカナダ最高峰であるローガン山をはじめ5000メートル級の山々が連なり、ダイナミックな自然景観が人びとを魅了している。
ユーコン準州の州都、ホワイトホースからアラスカ・ハイウェーを西へ150キロほど走ったところに位置するヘインズ・ジャンクション。クルアーニー国立公園のベースタウンであるこの小さな町の空港から軽飛行機に乗り、空からの撮影に挑んだ。
高い峰々は雪に覆われている。山間には65キロも続くローウェル氷河をはじめ多数の氷河が山間を流れており、真冬のような白い世界が続いていた。だが、フライトから戻る途中の山肌には、それはみごとな黄葉の風景が広がっていた。澄み切った青い空と稜線(りょうせん)の白い雪と黄葉が相まって、まだ9月だというのに一足早く深まりゆく秋の景色を創り出していた。
【1979年登録 自然遺産】
(富井義夫)
『世界遺産 絶景ベストセレクション』(宝島社 税込み690円)
神秘を感じる大自然、歴史的建造物、芸術的建築美、日本の世界遺産など、いつかは行ってみたい絶景の世界遺産を、綺麗な写真とともに心ゆくまで堪能できる1冊です。
■ プロフィール
Yoshio Tomii/1953年東京生まれ、札幌在住。40年超にわたり地球を駆け巡り、極地を含む132の国と地域を撮影。世界遺産に魅了され、その素晴らしさを伝えるメッセンジャーになりたいと願い、訪れた世界遺産の数は600を超える。写真展、著書多数。(公社)日本写真家協会会員。
公式ホームページ https://www.tomiiyoshio.com