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屋久島 世界自然遺産登録から30年 山極氏交え記念シンポを開催 

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シンポジウムで対談する山極寿一さん(左)と兵頭昌明さん

 屋久島(鹿児島県)が世界自然遺産に登録されて30年になるのを記念したシンポジウム「山極寿一と語る 屋久島のこれから」(KKB鹿児島放送主催、朝日新聞社共催、イオン環境財団特別協賛)が10月12日、同県屋久島町の屋久島環境文化村センターであった。ナビゲーターとして総合地球環境学研究所所長で前京大総長の山極氏が屋久島を知る3人と対談し、屋久島の現状や未来について語り合った。

対談の詳報はこちら

https://www.shinrinbunka.com/news/pickup/27105.html

 屋久島は鹿児島市から135キロ南に位置する1万人あまりが暮らす島。東に種子島、西には口永良部島(屋久島町)がある。九州最高峰の宮之浦岳(1936㍍)や観光名所の縄文杉で知られ、1993年12月、白神山地(青森県、秋田県)とともに国内で初めてユネスコの世界自然遺産に登録された。

 対談したのは、屋久島環境文化財団の小野寺浩理事長、屋久島を守る会の兵頭昌明・初代代表、イオン環境財団の山本百合子専務理事の3人。

 小野寺氏は、屋久島が世界自然遺産になる前年、鹿児島県が屋久島の将来像についてまとめた「屋久島環境文化村構想」の議論の経緯や当時の思いを語った。そして国内五つの世界自然遺産地域が特徴を生かして連携する必要があると提言した。

 兵頭氏は、屋久杉伐採に反対するなど屋久島の自然環境を守るために行ってきた活動について振り返り、屋久島の文化や自然、動植物への思いを語った。世界自然遺産になってから増えたガイドについて、地元の伝統文化も受け継いでほしいと要望した。

 山本氏はイオンによる植樹活動を紹介し、屋久島を含め、自然環境を次世代につなげていくことが大切だと語った。屋久島の自然を守るためには、島の動物や植物から人がどのように見られているか、視点を変えて考えることが大事ではないかと呼びかけた。

 山極氏はやりとりの中で「日本の環境行政が誇る『共生と循環』という言葉を屋久島でモデル化すべきだ」「地域の伝統を残しながら持続的に利用していくのが環境文化。それを未来に伝えていかなければならない」などと述べた。

 

登壇者のプロフィル

やまぎわ・じゅいち 京大霊長類研究所助手、京大院理学研究科教授などを経て第26代京大総長を務めた。京大大学院生だった1975年から研究で屋久島に通い、ニホンザルや原生林を調査。屋久島の西部林道の自然保護などに取り組む「あこんき塾」を立ち上げた。2021年から総合地球環境学研究所(京都市)の所長。

おのでら・ひろし 1973年、環境庁(現環境省)に入庁し、国立公園業務などに従事。90年から鹿児島県に出向し、屋久島の地域づくり構想や世界遺産登録に尽力した。その後、環境省で自然環境局長などを歴任。現在は屋久島環境文化財団理事長、鹿児島県環境担当参与、大正大客員教授。

ひょうどう・まさはる 屋久島町生まれ。屋久島高校卒。東京航空地方気象台に勤務した後、島にUターン。屋久島を守る会の初代代表として60年代から、国による大規模森林伐採、国家石油備蓄基地計画、縄文杉ルートのロープウェー構想の中止など、島民を中心とした自然保護運動に携わってきた。

やまもと・ゆりこ ジャスコ(イオン)入社。イオン人事部、社長室秘書部を経て2014年にイオン環境財団事務局長。現在は財団の専務理事兼事務局長。財団は植樹活動を通じて国内外の森林保全に取り組む。17年に日本ユネスコエコパークネットワークと連携協定を結び、エコパークでの活動にも力を入れる。

 

 

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