日本アルプス 四季を旅する
風光明媚
日本の屋根(日本アルプス)に囲まれた長野県の春の芽吹きは遅いが、早春になりフクジュソウなどが顔を見せ始めると、山野草や花木がだんだんと咲き移り、風景に彩りを添える。また長野は南北に長いので、例年4月に入ると桜前線が南信から北信へ約1カ月かけてゆっくりと進み、長期間楽しませてくれる。
そんな長野で観る桜の醍醐味(だいごみ)の一つは、残雪を冠った白いアルプスとのコラボレーションだろう。今回の写真は、南信の中川村にある大草城址公園から撮影したもの。園内にはソメイヨシノやエドヒガンなどの桜が200本以上植えられており、枝ぶりが立派なものも多い。
南信は伊那谷とも呼ばれる盆地で、天竜川が形成した河岸段丘のため、段丘の上方に上がると眺めがよい。この公園も東岸の高台に位置し、中央アルプス一帯、特に空木岳・南駒ヶ岳などの南陵線が悠々とそびえて見える。
一口に桜色と言ってもその色彩は品種によってさまざまだ。この季節ならではの春の色とアルプスを絡めて撮るには絶好のポイントの一つだ。
【撮影地】
長野県中川村
(大島隆義)