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秩父のサワラ、建築内装材で活用 軽さ・吸放湿性に着目 行田の会社

 秩父市大滝のサワラを、木材会社「島崎木材」(行田市桜町1丁目)が建築内装材として「秩父 大滝さわら加工板」の名で製品化した。おけなどの木製品に使われるサワラは、杉やヒノキに比べて使い道が乏しいとされるが、軽くて吸放湿性に優れていることに着目。二酸化炭素の排出を抑えるなどの環境に優しい特性もセールスポイントだ。
 数年前、同社の島崎政敏社長(65)が、サワラが建築の構造材としては強度不足のため、伐採適齢期になっても買い手が付かずに伐採できないでいる現状を秩父の林業者から聞かされていた。
 ■空っ風にさらす
 同社は、建築内装材を手掛けるために新たな機械を導入していた。島崎社長は「サワラの性質を生かせば建築内装用の板に使える」と判断。伐採で生産される200立方メートルの丸太を杉とほぼ同価格で山主から全量買い付ける。
 樹齢70年ほどのサワラの丸太が山から切り出され、横瀬町内の製材所で板にする。行田市内の島崎木材で屋内外に積み、北関東の平野部特有の空っ風「赤城おろし」にさらす。約4カ月間、自然乾燥させて含水率を10%ほどに落とし、壁や床などの建築内装材に加工する。
 ■問い合わせ次々
 5月から発売し、県内外の20ほどの業者から問い合わせがあり、数社から注文が入ったという。島崎社長は「荒川の源流域から上流、中下流へと山から都会までの人のつながりを生み出すような木材利用につながれば」と期待する。
 カエデの樹液生産とともに、新しい森林ビジネスのモデルケースとして「顔の見える木材での家づくり」をアピールする秩父樹液生産協同組合の山中敬久代表理事(68)は、「利用価値があるのに今まであまりにも安く取引されてきた。サワラの良さを見いだしてくれてありがたい」と話す。

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