日本アルプス 四季を旅する
満開の桜と甲斐駒ヶ岳
春といえば桜。僕にとっては山と同じくらいに好きな被写体で、4月になれば山よりも桜の撮影で忙しいくらいだ。この頃の日本アルプスはまだまだ雪があり、気温が上昇するにつれ雪崩が起きやすく危険な時期でもあるが、残雪のアルプスの姿は美しい。
麓を華やかなピンク色で彩る桜とのコラボレーションはこの上なく優美で、毎年どこで撮ろうかと迷うが、それもうれしい悩みだ。
だが、どんなにイメージを膨らましていても、桜の満開の時期に山がくっきりと現れてくれないことには、ファインダーに収めることはできない。晴れの日でもこの時期は春霞や黄砂といったちょっとした邪魔者に遮られることも多々ある。
まだカメラを趣味にしていた頃に訪れたことのある場所を久しぶりに訪ねてみた。以前と変わらぬ景観と桜満開の絶好のタイミングに感激しつつ、日の出前から絵になる場所を探していると、南アルプスの甲斐駒ヶ岳がモルゲンロートに染まりはじめた。
あっという間に日は昇り、空は青空に、光が当たると桜はより一層華やかさを増した。桜に負けないように残雪の甲斐駒ヶ岳の力強い山肌をできる限り大きく画面に収めた。
【撮影地】山梨県北杜市
(大島隆義)