日本アルプス 四季を旅する
緑と水のシラベ沢
北アルプス南部に位置する乗鞍岳の岐阜県側には、認定ガイドと共にしか入山が許されない五色ヶ原の森という3000haの森林地帯が広がる。体力や目的に応じて半日から1日の6種類のコースから選べ、この森の奥深さがうかがえる。
その中で見どころの多いシラビソコースを選び、ガイドと共に入山した。コース距離7.3km、所要時間約8時間のトレッキングだ。
湿地や池が多く、山野草がたくさん花を咲かせている。標高1600m付近はシラビソ、オオシラビソを中心とした針葉樹林が広がり、辺りは苔で覆われていて緑一色に見えるが、すぐ下には溶岩の岩塊が隠れている。
それはこの森一帯が乗鞍岳の火山活動によって造られた溶岩地形だからだ。そのためか土も少なく岩の間から湧き水が流れ、周囲を潤している。苔むした岩の間を清冽な水が流れるシラベ沢は、青森の奥入瀬渓流を思い浮かべるような美しい沢。緑と水の優美な風景を撮ることができた。
【撮影地】岐阜県高山市
(大島隆義)