「森の活動にいかに人を巻き込むか」意見交わす 森林づくりシンポ 仙台で開催
来年秋の全国育樹祭に向けたイベント「国民参加の森林(もり)づくりシンポジウム」(宮城県、森林文化協会、国土緑化推進機構、朝日新聞社主催)が16日、仙台市で開かれた。
音楽バンドMONKEY MAJIK/養蜂会社EIGHT CROWNSのメイナード・プラントさんと菊池拓哉さんが、「僕らが愛する宮城、自然と共に生きる」と題して、基調講演した。宮城県富谷市で取り組んでいる養蜂を通じて、人間の都合ではなくミツバチや自然環境のこと、生物多様性について考えながら、活動していくことの大切さを学んだなどと語った。
パネルディスカッションは、国内の森を盛り上げることをめざす企業モリアゲ代表の長野麻子さんが司会進行。いかに森林に関心を持ち、保全や林業に携わってもらうかについて、岩手県花巻市で、県産材を活用した木育施設「花巻おもちゃ美術館」の運営にも携わる小友木材店の社長小友康広さん、宮城県の登米町森林組合課長補佐の會津浩幸さん、宮城県石巻市で「格好良くて稼げる漁業」に取り組むフィッシャーマン・ジャパン事務局長の長谷川琢也さんが、盛んに意見を交わした。
生物多様性を守る観点でも森林が注目される一方で、手入れが行き届かない所も増えている。長谷川さんは「森が元気でないと海の栄養が減ってしまう。三陸の海は水温上昇が激しいが、それは大気も森もすべてつながっている」と指摘。皆さんに興味を持ってもらうには食べ物など身近なことから。宮城はサケ、コウナゴは本当に減っていて、サンマもピンチ。食べたくても食べられなくなるかもしれない。それを何とかしたいという思いで、多くの人を巻き込み、自分でも何かできたらいい」などと話した。
會津さんは、「今やってることは自分が生きているうちには見えないが、(成長した森を)想像しながら、だれかに伝えようと思って活動している。夢がある仕事だ」と林業の魅力を語る一方、人材が集まらない苦労を口にして、ほかのパネラーから助言を受けた。
小友さんは「林業は自分の生活課題からは遠く感じられる。いきなり本業はきついので、『趣味だけどお金をちょっと稼げて楽しい』といった小商いとして山で活動する人をいかに増やすか。『マイクロ林業』化が木材業界の行方を左右するかもしれない」と語った。そのうえで、「木材業界の人に聞くと将来がない。儲からないと言うが、皆さんが思っている以上に価値がある。林業関係者は業界の外の世界の人と会ってほしい。そのつながりができると、楽しさややりがいを見直せると思う。次世代に勝手につながっていくのではないか」と期待を口にした。
会場では地元高校生による森林や生態系にまつわる研究成果の展示や、木育体験のブースも設けられた。