日本アルプス 四季を旅する

初冬の峰々

 

 

 紅葉の季節が終わると日本アルプスではすぐに冬が到来する。そしてあっという間に厳冬期を迎える。その狭間でもある11月は、寒気が入りこむと瞬く間に白い世界に変貌するが、寒気が抜けるとまた瞬く間に降り積もった雪がなくなる目まぐるしい時期だ。その寒気が抜けるときが撮影のタイミングと定め、冠雪した富士山を遠望に、稜線からの情景を撮ろうと、南アルプス烏帽子岳を目指すことにした。

 登山口周辺はまだ秋色で、カラマツが黄色く染まるなか鳥倉林道からの入山。標高が高くなるにつれ季節も進むように、落葉から昨晩降った雪への変わり始める。

 日本で一番高い峠でもある三伏峠(さんぷくとうげ 標高2580メートル)に着く頃には雪道となり空気も冷たい。峠の小屋でずっしり重かったザックから冬装備をおろし、身軽になったところで、そこから南稜線に出た。一つ目のピークとなる烏帽子岳の北には塩見岳、東には冠雪した富士山が見事にそびえる。南方には荒川岳へと大きな稜線が遠く続く。

 今なお隆起し成長し続けているためか、3000メートル級でありながらもハイマツ帯が広がり緑が稜線まで多いこの山脈。そしてスケール感を感じとれるここからの景色を、ぜひカメラで切り取ってほしい。

 【撮影地】

 静岡県静岡市

 (大島隆義)

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