主催事業
つくば万博の森

つくば万博の森 自然共生サイトに認定

 「つくば万博の森」(9・87ha)が、里山として豊かな生態系が保全され、多くの動植物種が生息している区域として、「自然共生サイト」に認定されることが決まりました。

 自然共生サイトは生物多様性が民間などの取り組みによって保全されている区域を環境大臣が認定する制度で2023年度に始まりました。2024 年9月27日の発表で、24年度前期に「つくば万博の森」を含めて新たに69カ所が認定されることになり、23年度認定分とあわせて計253カ所となります。

■環境省自然共生サイトページ

https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/nintei/index.html

つくば万博の森=茨城県つくば市、2024年4月撮影

ヒノキ林の中に、ヤマザクラなど広葉樹が生えているつくば万博の森=2024年4月

 地球上で生物の絶滅が加速するなか、2030年までに生物多様性の損失を止めて回復に反転させる「ネイチャーポジティブ」や、2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全する「30by30」(サーティ・バイ・サーティ)といった国際的な目標が、G7や生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で示されています。

 当協会もその理念に賛同し、生物多様性の保全活動を応援する環境省の「30by30アライアンス」に23年度に加盟。つくば万博の森で、筑波大、森林総合研究所、日本野鳥の会茨城県、茨城県霞ケ浦環境科学センターをはじめ鳥類、地上哺乳類、植物の各分野の専門家の協力を得て、生態系調査を実施してきました。その結果、イノシシやタヌキ、ニホンノウサギ、季節によって異なる鳥類、多様な植物など里山に生息する多くの動植物が確認できたことから、国有林である現地を所管する関東森林管理局、遊歩道を管理するつくば市の同意を得て、24年4月に自然共生サイトへ申請しました。

 そして環境省の専門家委員会による審査の結果 以下の価値が認められ、このたび自然共生サイトに認定となりました。

・里地里山といった二次的な自然環境に特徴的な生態系が存する場

・生態系サービス(※)提供の場であって、在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系が存する場

・希少な動植物種が生息生育している場

(※)生態系サービスとは水や木材供給、災害抑制、観光やレクリエーション、など豊かな生態系が提供するサービス全般をいいます。

「つくば万博の森」内に設置した動物センサーカメラで夜間撮影されたイノシシ=2023年12月撮影

ニホンノウサギ=2024年1月撮影

遊歩道を歩くタヌキ=2024年1月撮影

「つくば万博の森」で撮影したウソ=2023年12月

茨城県レッドリスト(絶滅危惧Ⅱ類)のリンボク=2023年11月撮影

 引き続き関係機関、団体と連携、協力をいただきながら、生態系のモニタリングや調査を継続し、生物多様性の保全に取り組んで参ります。

【「つくば万博の森」概要】

 筑波山の南に位置する宝篋山(461m)の中腹(標高約210~400m)に広がる国有林です。面積約9.87ha。関東森林管理局と森林文化協会が分収造林契約を結んで管理。このうち遊歩道(約0.25ha)はつくば市が管理しています。1985年の「つくば万博」開催を機に、当協会と朝日新聞社がマツクイムシ被害からの森林再生を掲げ、全国約4万2千人から集めた募金をもとに、ヒノキなど約3万本を植林。地元からの要望を受けて宝篋山に多く自生するヤマザクラなども植樹しました。現在も当協会が定期的な間伐や、草刈りなどの維持管理作業を行っています。

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