日本アルプス 四季を旅する

シラビソの森と雪嶺

 

 新穂高温泉から新穂高ロープウェイに乗ると、眼前に一面の銀世界が広がる。3月の北アルプスはまだ厳冬といったところで、冬晴れの澄み切った青空と白銀の山々が美しく眩く輝く。

 客車が高度を上げるにつれ、堂々たる穂高連峰の山々が目前に迫る。その対角には笠ヶ岳がそびえ、冬山の荘厳な雰囲気を漂わせる。西穂高口駅を降りて千石平に足を踏み入れると、雪をまとったシラビソの原生林が広がり、まるでヨーロッパのような景色が広がる。西穂高岳は複数の岩峰が連なっており、鋸の歯のようにギザギザと続く稜線が特徴的だ。眺めているとときおり稜線から雪煙が巻き上がり、冬山の厳しさを物語っている。

 シラビソ林は強い光を受けて陰影が青みを帯び、そのコントラストがとても美しく感じられた。

 北アルプスの壮大さと冬ならではのこの絶景を気軽に感じられる贅沢な場所だ。

 【撮影地】

 岐阜県高山市

 (大島隆義)

PAGE TOP