亜熱帯やんばるの森
越冬したアカギカメムシの繁殖行動

口吻から保護する幼虫に水分を与える。体長17〜26㍉メートルで国内のカメムシ類では最大級。かつては琉球列島にのみ分布していたが、近年は北海道まで採集記録がある
通常は赤色から黄色の体色のアカギカメムシだが、越冬後は灰褐色に退色している。花の咲き始めたアカメガシワの雌株の葉裏に飛来し、産卵する。卵塊は150個ほどの卵から構成され、正六角形に近い形に産み付けられている。母虫が効率よく外敵から守るのに適した形状なのだろう。
母虫の保護の下で孵化した幼虫は、物理的に守られるほか、時々口吻の先から液体を与えられる。単純な水分だけではなく、養分を含むのかもしれない。やがて、幼虫たちは1回目の脱皮を終えると、母虫から離れて生活するようになる。その頃にはアカメガシワが結実し、貴重な栄養源と化している。
※琉球列島は、トカラ列島から八重山諸島までの亜熱帯の島々を指す
(湊和雄)
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