亜熱帯やんばるの森

オオジョロウグモの交接

雌の腹部で交接状態の雄(オレンジ色)。黒っぽく見えるのが触肢と呼ばれる器官。奄美諸島から沖縄に分布する

 雄よりも雌のサイズが大きいことを「蚤の夫婦」と呼ぶが、その差はわずかに過ぎない。しかし、クモの場合はその差が顕著な種が多い。日本最大のクモ、オオジョロウグモは雌の体長35〜50㍉メートル。雌の張る網はときに直径2メートルにも達し、小鳥が餌食になることもある。これに対し、雄はわずか7〜10㍉メートルだ。
 さらに変わっているのが繁殖行動だ。昆虫のような交尾はしない。交接と呼ばれる。雄は精子を専用の網で受け止め、触肢という器官ですくい取る、そして雌の腹部にある開口部に流し込む。雌は産卵まで受精嚢(じゅせいのう)と呼ばれる器官にその精子を貯蔵する。

 雄は雌の網に複数いることが多く、ときに闘いに発展することもある。

 (湊和雄)

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