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黒島で新種ラン 光合成せず、花も咲かず 神大の末次さん発見

 神戸大の末次健司特命講師(28)が三島村の黒島で新種のラン科の植物を発見したと、同大が発表した。光合成をせずに菌類から栄養を奪う「菌従属栄養植物」の仲間で、花を咲かせないことなどが特徴という。「クロシマヤツシロラン」と命名し、12日に論文が植物分類学の国際専門誌に掲載された。
 末次さんによると、クロシマヤツシロランは葉がなく、高さ15センチほどの茎の上に茶褐色の花を付ける。しかし、開花はせず、つぼみの中で自家受粉をして種子を作っているという。
 花を咲かせない植物は珍しく、菌従属栄養植物のなかでも数例が確認されているだけ。深い森の暗い林床では花粉を運んでくれるハチやチョウなどの昆虫がほとんどいないため、自家受粉をするようになり、さらに花も咲かさなくなった可能性があるという。
 今年4月、黒島北部の人里近い竹林で発見。最初は村内の竹島だけで見られる「トカラヤツシロラン」のつぼみと思い、開花した様子を撮影しようと研究室に持ち帰った。なかなか花が咲かないためにつぼみの中を調べると、すでに受粉が終わっていた。開花しないことや、花びらなどの形状にも特徴があることから、新種だと判明した。
 末次さんは竹島で「タケシマヤツシロラン」と「ヌカヅキヤツシロラン」を、屋久島でも「ヤクシマソウ」を発見しており、新種の確認は4例目となる。
 黒島には標高600~500メートルの山々が連なり、世界遺産の屋久島と同様に豊かな森が残されている。末次さんは「光合成をやめた植物が、昆虫との共生関係までも変化させ、花を咲かせなくなった可能性があることがわかった。今後も、多様な植生が残る鹿児島の離島で調査を続けていきたい」と話している。

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