亜熱帯やんばるの森
白い花に潜むコハナグモ

ショウベンノキの花に潜むコハナグモの雌。体長4〜8mm。沖縄〜北海道に分布
6月前半のやんばるは梅雨のまっ只中。潤いの保たれた森では、この季節に開花する植物が少なくない。しかし、それらの花、特に白色系の花には小型のクモ類が潜んでいる。その代表的な種がコハナグモだ。白い腹部は花や蕾、黄緑色の脚部は茎に酷似して、かなりのカモフラージュ効果をあげている。
それに気づかずに蜜や花粉を求めて訪花した昆虫類が、度々捕食される。このような例は、自らの姿を捕食者から隠す隠蔽擬態であると同時に、攻撃擬態、あるいはペッカム型擬態と呼ばれるものでもある。つまり、自らの捕食対象の昆虫類にも気づかれないような姿で、獲物が近づくと突然襲いかかるという世界だ。
(湊和雄)
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