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ウナギの稚魚に異変? 遡上6月も続く 7年間で4度確認

 冬から春にかけて川を上るはずの「ニホンウナギ」の稚魚が6月に入っても遡上(そじょう)する年が相次いでいると、北里大や東京医大の研究チームが調査結果をまとめた。海洋環境の変化などにより、稚魚の生態に異変が起きている可能性も考えられるという。土用の丑(うし)の日(30日)を前に、東京大で9日に開かれるシンポジウム「うな丼の未来4」で報告する。
 かば焼きでおなじみのニホンウナギは、マリアナ諸島沖で生まれ、海流にのって日本の沿岸にやってくる。稚魚の「シラスウナギ」は養殖に使われるが、近年、その数が激減し、科学調査が進められていた。
 国内各地のシラスウナギ漁は遡上シーズンとされる12月から4月が中心。研究チームは、神奈川県の相模川で、過去7年間にわたって定点調査を実施。河口の表層を泳ぐシラスウナギを毎月、新月の前後の上げ潮時に2時間、網ですくって個体数を記録した。
 その結果、6月に多くのシラスウナギが遡上する現象が7シーズン中4シーズン(2010年、11年、12年、16年)で確認された。
 こうした現象がニホンウナギの資源量にどう影響するかは不明だが、吉永龍起・北里大准教授(個体群生態学)によると、遡上が6月まで続く現象は九州の河川でも起きているという。篠田章・東京医大准教授(魚類生態学)は「気候変動など、何らかの要因で稚魚が日本にやって来る時期が以前より延びているのではないか。さらに多くの河川で調査データを集める必要がある」と話す。

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