日本アルプス 四季を旅する

樹々潤う雨の檜尾尾根

 

 中央アルプス主稜線のほぼ真ん中に位置する檜尾岳は、近年人気の山域となっている。頂上付近にある小屋は数年前に無人の避難小屋から有人小屋になって収容人数も少し増え、テント場も設けられた。

 雨季に入る6月、天候は読みづらく、明け方アルプスの稜線が晴れていてもすぐに雲に覆われてしまう。訪れた時も天気予報は悪くない条件だったのに、翌朝から雲に覆われた状態で、予報に裏切られた。この日も稜線を歩く予定だったが、小屋の立っている檜尾尾根を下山することした。

 森林限界はそれほど長くはなく、しばらく歩くとダケカンバ林に覆われはじめる。ところどころ絵になるダケカンバの姿。霧に覆われたしっとりとした樹々をカメラに収めながら下ると、次第に雨粒が落ちてきた。滴る雨水で艶やかな姿の大きなダケカンバの幹、見上げるとレンズに雨粒が付着し、柔らかな光がにじむ。雨ならではの山林の姿を撮影できた。

 【撮影地】 長野県駒ヶ根市

 (写真・文 大島隆義)

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