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温暖化なければ、昨夏の猛暑起きず データ60年分、気象庁など分析

 昨夏の記録的な猛暑は、地球温暖化がなければ起こっていなかったとする研究結果を、気象庁気象研究所などのチームが22日、発表した。温暖化で地球全体の平均気温があと1度上がると、35度以上となる猛暑日の国内での発生回数が現在の1・8倍になるとも推計している。
 チームは温室効果ガスの濃度を産業革命前に設定するなどした「温暖化のない地球」と、実際の気候をもとにした「現実の地球」で、大気や海水温のデータをもとに約60年分の気象状況を、コンピューターで100回ずつ再現した。
 その結果、日本上空が昨年7月を超える気温になる確率は、現実の地球では約20%だったのに対し、温暖化のない地球ではほぼ0%と推定された。
 温暖化対策を定めたパリ協定は、産業革命以降の地球平均気温の上昇を2度(現在より1度)に抑えることを世界共通の長期目標として設定した。ただ、これでも猛暑日となる全国のアメダス地点は現在の1・8倍に増えるとの結果が出た。
 気象研究所の今田由紀子主任研究官は「昨年の猛暑は温暖化の影響であることが、数値で裏付けられた」と話している。
 昨年猛暑日となったアメダスの延べ地点数は6千を超え最多に。埼玉県熊谷市では国内史上最高となる41・1度を観測した。厚生労働省によると、昨年7月の熱中症による死者は1千人を超えた。

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