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(2030 SDGsで変える)「再生エネ100%」目標広がる

 地球温暖化を防ぐため、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで電気を100%まかなう目標を打ち出す企業や自治体が相次いでいる。これまでにリコーや富士通、イオングループなど20社・団体を超えた。温暖化防止のための枠組み「パリ協定」が2016年に発効したのを受け、世界的に再生エネへの移行が加速している。国内でも今後、「再生エネ100%」の流れが広がりそうだ。

 大手企業向けでは、英国のNGOが14年に「RE100」という再生エネ100%を目標にする企業の国際的ネットワークをつくった。参加企業は施設や工場などで使う電気を再生エネ100%にする達成年や進め方などの計画をつくり、毎年進み具合のチェックを受ける。世界では米アップルやスイス・ネスレなど140社以上が入っている。
 日本では昨年4月、事務機器大手のリコーが初めて参加。積水ハウスや丸井グループなども参加し、今月ソニーが入って11社になった。多くが、再生エネ100%と二酸化炭素(CO2)排出ゼロを50年までに達成すると宣言している。
 リコーはグループの60カ国の拠点で電力の契約状況や使用量などを調べ、契約を再生エネに切り替えるなどしてきた。今年3月には欧州12カ国にある60以上の拠点で再生エネ100%を達成したという。
 小売り最大手のイオンは3月、CO2排出量を30年までに10年より35%削減し、50年にゼロにする目標を掲げた。3月に神奈川県座間市に開店したイオンモール座間店は側面を約4千枚の太陽光パネルで覆う。モールの1割未満の電気をまかなうだけだが、「今後、他の店舗でも導入していく」(コーポレート・コミュニケーション部)という。
 自治体や大学、中小企業向けには、国内のNGOなどが昨年、再生エネ100%を目指す「自然エネルギー100%プラットフォーム」をつくり、福島県や長野県、兵庫県宝塚市、千葉商科大学など14社・団体が参加する。岩手県葛巻町や福島県南相馬市のように独自に再生エネ100%を宣言した自治体もある。
 パリ協定は、世界の平均気温の上昇を産業革命前から2度未満、できれば1・5度までに抑えることを目指す。国連が15年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs〈エスディージーズ〉)」でも、目標13で温暖化による気候変動への対策を促している。

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