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石炭火力投融資、日生が全面中止へ

 日本生命保険は12日、国内外の大型事業融資(プロジェクトファイナンス、PF)で、石炭火力発電への新規の投融資を今後全面的に取りやめる方針を明らかにした。日本の大手金融機関が、国内外を問わず石炭火力発電への投融資の中止を表明するのは初めて。生保最大手の決断が金融業界に影響を与えそうだ。
 この日の報道陣向け懇談会で、幹部が「難しいテーマだが、公益性の高い保険会社として判断した」と述べ、中止の方針を明らかにした。
 石炭火力発電は二酸化炭素(CO2)の排出が多く、地球温暖化への悪影響が指摘される。地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が2016年に発効したことを受け、欧米の金融機関を中心に石炭火力発電への投融資の引き揚げを表明する動きが相次ぐ。地球環境に悪影響を与える融資姿勢への批判が強まっているためだ。石炭火力発電への逆風が強まり、発電所が運転できなくなるなどの影響が出れば、投融資を回収できないリスクも高まる。
 国内では第一生命が5月、PFについて、海外の石炭火力発電の建設に投融資しない方針を表明。3メガバンクも融資を厳格化させる姿勢を示している。ただ、日本政府が石炭を重要なエネルギー源と位置づけていることもあり、国内の金融機関で全面的な投融資の中止に踏み込む動きはこれまでなかった。

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