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夏の北極、気温2度上昇 15年間で、乾燥化も進む

 北極の夏の気温が、2016年までの15年間で約2度上昇し、乾燥化も進んでいることが、海洋研究開発機構などのグループの研究でわかった。オンライン学術誌リモート・センシングに発表した。
 研究グループは、北極の陸域の8割を占める「ツンドラ域」を対象に、地上気温の観測などを元にしたシミュレーション結果や衛星による観測データを分析。気温と陸域貯水量の推移を導き出した。
 その結果、02年から16年までの15年間で、6~8月の夏の気温が約2度上昇していたことがわかった。一方、年平均気温は上がっている兆候はなく、季節による寒暖差が広がっているとみられるという。
 また、湿地や土壌水分、地下水など陸域の貯水量は、15年間で約1100億トン少なくなった可能性があり、乾燥化が進んでいることもわかった。湿地が少なくなり、渡り鳥など生き物への影響も考えられるという。そのほか、永久凍土の一部が解けるなどの影響も見られた。
 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書では、北極は地球温暖化の影響を最も受けるとされている。
 海洋機構北極環境変動総合研究センターの鈴木和良さんは「北極の海氷面積が縮小していることが背景にあると考えられる。気温が上昇すると土壌の水分が蒸発して乾燥し、それがさらに気温上昇を招くサイクルになっているようだ」と話している。

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