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北極圏−高山帯の植物は緯度が低いほど遺伝的多様性が減少

周北極・高山性の植物であるチョウノスケソウの集団内の遺伝的多様性が、高緯度から低緯度へ緯度が低下するにつれて減少していることを、筑波大学と富山大学の研究グループが明らかにした。グループは、日本列島の山岳地域から北極圏スバールバル諸島までのチョウノスケソウの18集団からサンプルを集め、集団内の遺伝的多様性が緯度に沿ってどのように変化するのかを解析した。一般的な生物種では、緯度の低下に伴って種内の遺伝的多様性が増加する傾向が認められてきたが、周北極・高山性の種においては、逆のパターンがあると実証された。

 

また、チョウノスケソウの分布の最南限にあたる本州中部山岳地域では、遺伝的多様性の減少が顕著であり、高緯度地域を基準とすると9割以上もの遺伝的多様性が失われていることも分かった。一方で、本州中部山岳地域における遺伝的固有性は高く、過去の氷期・間氷期の気候変動を通じて、隔離・孤立化という独自の歴史を辿ったという仮説が支持された。

 

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