ツキノワグマの生活痕(こん)を探しました 「玉原パトロール報告」

クマ棚

クマの足あと(左)と人の足あとの比較

クマの足あと

爪のあと

クマのふん
群馬・玉原高原に冬がやってきました。本格的な雪の季節を前に県自然保護指導員の古見満雄さんが11月18日に現地を訪れた時の様子をつづった玉原パトロール報告「ツキノワグマの生活痕探し!」が送られてきました。文と写真の一部を紹介させていただきます――。
ブナの葉が落ち森の見通しが良くなるこの頃は、ツキノワグマの生活痕を探しやすくなります。そしてまた雪の上に残された足跡にも期待がかかります。そこで 鹿俣山ルートから入山しました。
ヒノキの林を抜け、ブナ帯に入るとすぐにクマ棚を確認です。このルートは何度も通過しているのに少しも気が付きませんでした。遊歩道からは、かなり離れていますが、葉が落ちることによって確認しやすくなっています。しかもここでは4~5本のブナに登っています。
このルートには県立自然史博物館によってセンサーカメラが3台仕掛けてあり、何時もツキノワグマが捕らえられていますが、多分その子達だと想像しました。
数日前に降りました雪はほとんど解けていました。これではツキノワグマの足跡は無理と気落ちしながら尾根筋に出たところで、高山~亜高山の針葉樹林帯で生活をしているホシガラスが飛び出してくれました。仲間から玉原まで下りてきているとの情報をいただいていたのですが、数羽確認することが出来ました。どうやらブナの実を集めに来ている様子。クチバシの先にブナの実を確認することが出来ました。
山頂手前の残雪の上でツキノワグマの足跡を見つけることが出来ました。新しい足跡ではありませんが、まだまだ活動していることを確認でした。
10:30頃登頂、そこから見る山並みはきれいでした。冷え込みが作るロケーションです。この頃から雨粒がポツポツと、下山を急ぐことにしました。
ゲレンデからブナ平方向に下ったところで、コロッコロとしたツキノワグマの新鮮な糞を見つけました。糞の中にブナの実の殻を沢山確認することが出来ます。落ち葉を掻き分けて実を拾い食いしたのでしょう。
葉を落とした木々に絡むオニツルウメモドキがきれいです。クロテンフユシャクはこれから伴侶捜しです。雌は羽が無く木に留まりながらフェロモンを飛ばしています。それを感じながら探すのです。出合えることに期待をしつつ、下山しました。
古見 満雄(群馬県自然保護指導員、Nacs-J 自然観察指導員、森の博物館玉原・楽迎員)

山頂からの山並み

鹿俣山ルート・お気に入りのブナ

オニツルウメモドキ

クロテンフユシャク