ブックガイド

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●林業イノベーション─林業と社会の豊かな関係を目指して

長谷川尚史 著  全国林業改良普及協会〈林業改良普及双書〉本体1100 円+税

経済成長のため、産業界ではイノベーションが求められている。林業においても同様だ。国内で3人の作業員の賃金を賄うのに、1960年なら直径24cm、長さ4m の材を1本出せば済んだが、今は16本出さなければならないという。人件費の高騰と材価の下落が大きな理由だが、では何をすることが必要なのか。

イノベーションは技術革新と訳されることが多い。最近の顕著な進展は、著者の研究テーマでもある、人工衛星などを活用した測位精度の向上だ。林内路網の整備、高性能林業機械の導入と結び付けば、林地単位ではなく木1本の単位で、効果的な管理ができる。

だが、それで済む現状ではない。反省すべきは林業にリスクマネジメントが不足していたこと。木材生産には50 ~ 100年という長い年月がかかる。いかに将来を見据えて、リスク分散を図るかが求められる。森という資産を活用して、将来世代までを考慮した地域運営に取り組む姿勢も欠かせない。未来は、そんなイノベーションをどう起こすかにかかっている。

(「グリーン・パワー」2016年12月号より)

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