亜熱帯やんばるの森
ムラサキオカヤドカリ
ヤドカリと聞けば、貝殻に入った甲殻類を容易に思い浮かべることができるだろう。オカヤドカリもそれとそっくりの姿ながら、名称のとおり陸上生活を送る。貝殻内に水を蓄え、えら呼吸をする。動物の死骸や植物の実などを食べる雑食性。日中でも姿を見かけるが、基本的には夜行性で、大型個体ほどその傾向が強い。
唯一海中で過ごすのが、幼生のとき。6〜8月の大潮の夕暮れ、海岸近くの茂みから集団で波打ち際に向かう。波にさらわれないように近づき波を被った瞬間、卵塊を抱いた腹部を海水にさらす。すると孵(かえ)ったばかりのゾエアと呼ばれる幼生が海水中に放たれる。海中で5回の脱皮を終えると、陸上生活に戻るため上陸する。
オカヤドカリは国内で7種が知られ、いずれも国指定天然記念物。だが条件付きで捕獲、販売、飼育が許可されている。
(湊和雄)
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