亜熱帯やんばるの森

ツマムラサキマダラ

雌(左)に求愛するツマムラサキマダラの雄(右)。構造色のため左右で差が生じる。前翅長40〜50㍉メートル

 

 以前から八重山諸島では迷蝶として度々記録されていたが、1990年代初頭から沖縄本島に定着し、その後琉球列島※全域に分布拡大。和名の由来でもある前翅表面のメタリックブルーが特徴。これは雄に顕著で、雌はその面積が狭い。ただし、これは色素による色ではなく、光の干渉による構造色で、光線状態や角度によって大きく変化する。
 後翅の裏面は雌だけに白いラインが顕著で、雌雄の違いは一目瞭然だ。求愛時、雌に接近した雄は近くでホバリングを続ける。そして、急に尾端から黄色い房状の器官を露出する。ヘアペンシルと呼ばれ、雌への求愛フェロモンを放出する。このフェロモンは雌を積極的にさせるものではなく、逃げないように行動を抑制する作用があると言われる。

 ※)琉球列島はトカラ列島から八重山諸島にかけての亜熱帯の島々。大東諸島、尖閣諸島は含まれない。

 (湊和雄)

 動画でもどうぞ。

 

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