亜熱帯やんばるの森
ヨツメオサゾウムシとアオノクマタケラン
昆虫たちの活動も活発になる5月。山中でも、比較的市街地に近い環境でも、わりと見かける昆虫がヨツメオサゾウムシ。サイズは1センチ強と小ぶりながら、緑の葉の上にいる赤色系の姿は、比較的見つけやすい。
逆に、なぜこんなに目立っているのかと不思議に感じるが、この昆虫はあるトリックを身につけている。
真後ろから見ると、大きな1対の目玉模様の間に尾端が突出し、まるで偽の頭部のように見える。これは天敵にとって、思っていたのとは逆向きに移動するので、捕食率を下げる効果があるのだろう。
ヨツメオサゾウムシがよく見つかるのは、アオノクマタケランの葉の上。葉の表面をかじった痕跡もたびたび確認できる。沖縄では、市街地では餅を包むのに使われるゲットウが多いが、山中では本種にかわる。両種の交雑種が「クマタケラン」と呼ばれる。いずれも、ショウガ科に属し、よい香りが漂う。
(湊和雄)
動画でもご覧ください。