亜熱帯やんばるの森

オオシマカクムネベニボタルとシマイズセンリョウ  

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オオシマカクムネベニボタル。前胸背板が台形なのが特徴。発光しないホタル。体長約15ミリメートル。沖縄諸島、奄美諸島に分布

 

 3月から新緑の季節を迎えたやんばるの森。そこでは春に出現するカブトムシたちの活発な姿が見られる。なかでも、よく目に止まるのが鮮やかな赤色をまとった細長い体形の種。しかし、これは1種ではない。実に多くの種によって構成されている。

 その鍵を握っているのが、ベニボタルというグループだ。体内に毒を蓄え、鳥類などの天敵から身を守る戦略を採っている。その有毒であることをアピールする鮮やかな警告色なのだ。ベニボタルにも複数種が存在し、互いによく似ている。これはテントウムシ類で知られる「ミューラー型擬態」というもので、天敵による有毒種の学習効果を高めている。そのなかでも最も多く見られるのが、オオシマカクムネベニボタル。

 さらに無毒な種がベニボタル類に擬態する「ベイツ型擬態(標識擬態)」種も数多い。ハナカミキリムシ、コメツキムシ、ハムシダマシ、アカハネムシなど多岐のグループにわたる。

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シマイズセンリョウの花。ひとつの花の直径は2〜3ミリメートル。樹高2〜3メートル。沖縄から九州南部に分布

 

 オオシマカクムネベニボタルをはじめ、それに擬態した種がよく集まるのが、シマイズセンリョウの花。2月下旬から4月上旬に開花する。

 (湊和雄)

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