亜熱帯やんばるの森
オオシマカクムネベニボタルとシマイズセンリョウ
3月から新緑の季節を迎えたやんばるの森。そこでは春に出現するカブトムシたちの活発な姿が見られる。なかでも、よく目に止まるのが鮮やかな赤色をまとった細長い体形の種。しかし、これは1種ではない。実に多くの種によって構成されている。
その鍵を握っているのが、ベニボタルというグループだ。体内に毒を蓄え、鳥類などの天敵から身を守る戦略を採っている。その有毒であることをアピールする鮮やかな警告色なのだ。ベニボタルにも複数種が存在し、互いによく似ている。これはテントウムシ類で知られる「ミューラー型擬態」というもので、天敵による有毒種の学習効果を高めている。そのなかでも最も多く見られるのが、オオシマカクムネベニボタル。
さらに無毒な種がベニボタル類に擬態する「ベイツ型擬態(標識擬態)」種も数多い。ハナカミキリムシ、コメツキムシ、ハムシダマシ、アカハネムシなど多岐のグループにわたる。
オオシマカクムネベニボタルをはじめ、それに擬態した種がよく集まるのが、シマイズセンリョウの花。2月下旬から4月上旬に開花する。
(湊和雄)
動画でもご覧ください。