亜熱帯やんばるの森

オキナワイシカワガエルとアオバナハイノキ

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オキナワイシカワガエルの雄成体。体長92〜115ミリ。やんばる固有種。沖縄県指定天然記念物

 

 やんばるの森では、冬季に繁殖期を迎えるカエルが4種知られている。リュウキュウアカガエル、オキナワアオガエル、ハナサキガエル、そして今回紹介するオキナワイシカワガエルだ。この中では最も大型種で、鳴き声も大きい。まるで人間の悲鳴のような声は、かつて何の動物のものか謎だった。

 というのも、苔(こけ)むした岩や樹木の多い生息環境では隠蔽(いんぺい)効果が高い姿だからだ。さらに、穴の中で鳴いていることも少なくない。また、かつて同種に扱われていたアマミイシカワガエルと異なり、照明を当てているとほとんど鳴かない。そのために鳴き声の“主”を特定するのが容易ではなかったのだ。

 今回の動画撮影は可能な限り光量を落とし、超高感度撮影したものである。この雄が雌を呼ぶ鳴き声は、早いと11月から聞かれる。それから4月にかけて、長期に及ぶ繁殖期を迎える。

202303s

渓流の苔上に散ったアオバナハイノキの花。樹高3〜10メートル。やんばると沖永良部島に分布

 

 やんばるの森では、早春の2月から3月にかけてアオバナハイノキが開花する。森の樹冠部で開花するが、その根元で美しい落花が見られることもある。

 (湊和雄)

動画でもご覧ください。

 

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