亜熱帯やんばるの森

リュウキュウアサギマダラとツルモウリンカ

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ツワブキで吸蜜するリュウキュウアサギマダラ。前翅長40~50ミリ。国内では琉球列島(※)に分布

 

 5年前、月刊誌『グリーン・パワー』2018年1月号で、リュウキュウアサギマダラの越冬集団を紹介した。枯れ枝や蔓(つる)に数十匹のリュウキュウアサギマダラが集団を形成する行動だ。周囲の集団を含めると数百匹の規模になることもある。翅(はね)を閉じて静止していると、まるで枯れ葉のように見える。

 しかし、これは冬季に安定して見られる状態ではない。比較的気温の高い条件では、個体の入れ替わりが頻繁に起き、近くの植物に訪花し、吸蜜する姿もしばしば見られる。時には、雄が雌を追尾するような行動も観察されることがある。緩い越冬集団なのだろう。

 その吸蜜植物の代表がツワブキ。やんばるでは、11月末から咲き始め、翌年3月ごろまで見られる冬の花だ。他のマダラチョウ類と交ざって吸蜜する様子は、亜熱帯の“冬の風物詩”でもある。

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開花したツルモウリンカ。蔓性植物。沖縄から九州南部に分布

 

 リュウキュウアサギマダラの食草はツルモウリンカ。キョウチクトウ科でアルカロイド毒を持ち、チョウの体内に取り込まれ蓄積される。これは他のマダラチョウ同様、天敵に対する戦略として利用される。

 ※)琉球列島はトカラ列島から八重山諸島にかけての亜熱帯の島々。大東諸島、尖閣諸島は含まれない。

 (湊和雄)

動画でもご覧ください。

 

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