亜熱帯やんばるの森
ケナガネズミとシラタマカズラ
頭胴長22〜33センチ、尾長24〜33センチ。これは日本最大の野生ネズミ、ケナガネズミのサイズ。見た目は子猫か子犬の大きさだ。これだけの大きさにもかかわらず、基本的に樹上生活を送る。細い枝先も器用に動き回り、その際に長い尾がバランスを取るのに役立っているようだ。
餌は主に植物食で、木の実や葉を好む。一方、昆虫やミミズなども捕食し、雑食性が認められる。摂食時は後肢で立ち上がり、前肢を使って食べるため、まるでリスのようだ。
秋に繁殖期に入り、初冬から幼獣が見られるようになる。成獣に比べ体毛が不ぞろいで、頭部が小さい。数頭の幼獣が1カ所にまとまって見られることもある。
元来、目撃頻度が低い希少種だが、10年ほど前に激増したことがある。数年でその状態は落ち着いたが、一昨年から再び増加傾向に入っている。この増減の原因は今のところわかっていない。
摂食する木の実で頻繁に利用されるのはシイ類やアカメガシワ、ハゼノキ、イジュなどだが、かなり広範の樹種が利用される。秋から冬に結実するシラタマカズラの摂食シーンにも遭遇したことがある。
(湊和雄)
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