亜熱帯やんばるの森
オキナワマルバネクワガタとオキナワウラジロガシ
![202210m](https://www.shinrinbunka.com/wp-content/uploads/2022/09/8e2dc2ec8fe834716f240683e24f0022.jpg)
雄成虫。9〜11月にかけて出現する。飛ぶことは稀で、樹液にも集まらず、夜の林床を歩いて移動する
1970年代、琉球列島にはタテヅノマルバネクワガタという大型のクワガタムシが生息することが知られていた。大顎(おおあご)に見られる歯の一対が上向きである特徴からのネーミングだ。80年代にかけて分類が整理され、やんばる地域のものはオキナワマルバネクワガタという独立種となった。
雄成虫の体長は43〜70ミリもあり、オオクワガタに迫る大型種。ヤンバルテナガコガネの成虫出現期と重なることもあり、格好の採集対象となった。近年は、生息環境の悪化と相まって、激減してしまった。そのために2016年に「種の保存法」対象種に指定され、採集が禁止された。さらに、生息地の夜間林道通行の申請許可制も導入された。
![202210s](https://www.shinrinbunka.com/wp-content/uploads/2022/09/7abce7e6bed0f6ff229a74d3b5c35226.jpg)
オキナワウラジロガシの巨木。樹高は最大で20メートルを超える。琉球列島の固有種(※琉球列島は、吐噶喇列島から八重山諸島の亜熱帯の島々)
幼虫は腐朽したシイ・カシ類、リュウキュウマツなどの樹洞や朽木内で育つ。オキナワウラジロガシは、イタジイと並ぶやんばるの森の大型樹種。また、日本最大のドングリを付けることでも知られる。
(湊和雄)
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