亜熱帯やんばるの森
ヤンバルテナガコガネとホルトノキ
1983年に発見された日本最大の甲虫ヤンバルテナガコガネ。雄の体長は最大で65ミリ。和名の由来でもある長大な前脚は雄だけの特徴で、真っすぐに伸ばすと90ミリ前後と体長よりも長くなる。カブトムシ、クワガタムシ類同様、雄同士の闘いの武器となる。
雄の出現時期は8月後半から10月上旬。しかし、前年の秋から既に羽化を終え成虫になっている。その後10カ月近くは、繁殖に利用した大木の樹洞内で過ごしている。さらにその前の幼虫時代は2もしくは3年を要し、同じ環境で成長する。つまり樹洞のある大木の存在が、ヤンバルテナガコガネの生息に必須の条件である。その樹種はイタジイとオキナワウラジロガシが主だが、他の樹種も利用される。その中にホルトノキも含まれる。
ホルトノキは街路樹など植栽にも利用され、やんばるの森の構成種としての印象は薄いかもしれない。しかし、森の中では樹冠に届く大木に成長し、樹洞も形成され、板根も発達する。
(湊和雄)
動画でもご覧ください。