亜熱帯やんばるの森
オキナワキノボリトカゲとセンダン
亜熱帯林で太い幹から細い枝先まで、器用に移動する鮮やかな緑色のトカゲ。その名もキノボリトカゲ。国内では奄美群島、沖縄諸島産オキナワキノボリトカゲ、先島諸島産サキシマキノボリトカゲ、与那国島産ヨナグニキノボリトカゲの3亜種に分類される。
その中でも、ひときわ鮮やかな体色なのが、オキナワキノボリトカゲの雄成体だ。この体色は、周囲の環境や興奮度合いなどによっても変化する。
姿もユニークだが、他個体と出会ったときに興味深い行動を見せる。のどの下のオレンジ色の袋や頭頂の鶏冠状の突起を誇示する。そして互いに向き合って腕立て伏せのような動きをする。雄同士では、さらに互いの尾の基部にかみつき、グルグルと回転することもある。
食性は完全に肉食性で、昆虫など小動物を捕食する。しかし捕食の際、樹木との関連も観察できる。アカメガシワ、ホルトノキ、センダンなどの樹液にやって来る昆虫を狙って、効率よく捕食するのだ。
センダンは、亜熱帯やんばるでは3〜4月に開花、11〜1月に結実し、多くの動物に栄養を供給する。
(湊和雄)
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