亜熱帯やんばるの森

ノグチゲラとヤマモモ

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頭頂の黒い雌親が、巣で待つ雛に餌を運んできた。雛は雌雄にかかわらず頭頂が赤い。全長約31センチ。やんばる固有種

 

 数多いやんばるの希少生物の中でも、唯一の特別天然記念物。環境省レッドリスト絶滅危惧IA類、国内希少野生動植物種、特殊鳥類、沖縄県の鳥など肩書の多さで飛び抜けている。

 しかし、これは絶滅の危険性の高いことの裏返しでもある。かつては、1シーズンの産卵数は1〜3個と言われていた。しかし最近の研究では、この倍ほどの卵を産んでいるが、孵化(ふか)率の低いことが分かってきた。おそらく限られた分布エリアに200〜500羽と少ない生息数のために、いわゆる血の濃い状態になっている影響なのだろう。

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たわわに実をつけたヤマモモ。樹高5〜20メートル。沖縄から関東地方に分布

 

 今年もノグチゲラは繁殖期を迎えている。4月から新しい巣をつくり始め、5月中に巣立つペアが多い。雛(ひな)に与える餌は、初期には昆虫など小動物がほとんどだ。しかし、雛が成長して親と同じくらいのサイズに近づくと、木の実も盛んに運んでくるようになる。

 タブノキの黒い実、ベージュの小さなハゼノキの実などに交じり、イヌビワなどの赤い実も目立つ。ひときわ、鮮やかで大きめの実がヤマモモだ。人間も好んで食べるヤマモモは、ちょうど亜熱帯の梅雨時に結実する。

(湊和雄)

動画でもご覧ください。

 

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