亜熱帯やんばるの森
ナナホシキンカメムシとオオバギ
ナナホシキンカメムシはカメムシの仲間としては大型で、金属光沢を伴う派手な色彩を身に纏(まと)っているため、とても目につく存在。さらに、成虫の出現期の半分以上を集団で過ごすことから、その存在感をより高めている。
やんばるでは、6月下旬から7月に新成虫が出現し、カンコノキ類の幹で集団吸汁する姿が観察される。色合いといい、その状況といい、まるでカナブンなど甲虫のように見える。そして翌年の3月ごろまで、さまざまな植物の葉裏に集団形成をする。これは時期的に“越冬集団”の意味合いが強そうだ。
一方、成虫が見られなくなるのが繁殖期の5、6月。その直前の4月にはユニークな求愛行動が観察される。雄が雌を追いかけた後、雌が振り返って向き会うと、雄はまるで土下座をするかのように頭を擦り付ける。
その後、交尾、産卵を経て、幼虫が栄養を摂取するのが、主にオオバギの実だ。たくさんの突起があり、とても不思議な形をしている。
※)琉球列島は、トカラ列島から八重山諸島までの島々を指す
(湊和雄)
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