亜熱帯やんばるの森

オキナワイシカワガエルとタブノキ

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オキナワイシカワガエル青色体色変異の幼体。成体の体長92~115ミリ。やんばるの固有種。沖縄県指定天然記念物

 

 亜熱帯やんばるの森では、真冬に繁殖期を迎えるカエル類も少なくない。オキナワイシカワガエルもその一種。「日本最美麗種」とも言われる体色だが近年、青色変異個体の存在が話題になっている。

 分子レベルでは、黄色素の欠乏により青く見えるという解説はあるものの、遺伝的、生態学的には謎だらけだ。限られた水系だけで局所的に目撃されるため、遺伝的なものであるのはうなずけるが、特定の化学物質の蓄積の影響とする説もある。「以前は見かけなかった」と言う研究者もいる。

 青色は幼体時のみで、成体になると通常の体色になるともされていたが、両方の体色の混在する亜成体も目撃されている。しかし最近、全身青色の成体も確認された。本来の黄緑色をベースにした体色ならば、こけむした生息環境で隠蔽(いんぺい)効果を発揮するが、青色では天敵にも発見されやすく、成体になるまでに捕食されてしまうという考えもある。

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タブノキの芽吹き。照葉樹林の代表的な樹種。最大樹高30メートル。沖縄から本州に分布

 

 オキナワイシカワガエルが繁殖期を迎える季節、森では木々の芽吹きが始まっている。緑の中では極めて目立つ鮮紅色の若葉の樹種も見られる。その代表種がタブノキだ。しかし、この色彩は例外なく生長に伴い、緑色へと置きかわる。

 (湊和雄)

 

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