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木のおもちゃで地場産業を活性化 東京・檜原村が産官学で商品開発

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檜原村、桜美林学園、東京チェンソーズによる産官学連携協定の締結式=東京チェンソーズ提供

 東京都の西端にあり、村の面積の93%を山林が占める檜原村が、木製のおもちゃで地域の活性化に取り組んでいる。村にはすでに「檜原森のおもちゃ美術館」があり、年間4万人が来場する人気スポット。そこでの販売や、地元の幼児たちの遊びに活用することを目指している。

 東京の人にもあまり知られていないが、檜原村の森林は都民に欠かせない「水がめ」だ。都水道局によると、1901年から多摩川上流域の森林は「水道水源林」として管理されてきた。その豊かな自然を守るため、都は80年に約405㌶を「桧原南部都自然環境保全地域」に指定している。

 95年には都の「檜原都民の森」にも指定された。村によると、標高1千~1500㍍の高地の自然を身近に楽しめる山岳公園で、ブナが多く残るなど貴重な自然林という。地域内には森林館や木材工芸センター、炭焼き小屋、野鳥観察小屋なども整備されている。来場者がハイキングや野鳥観察などを楽しめるようになっている。

 だが林業に目を向けると「村には戦後間もなく植えた木が多く、樹齢が50年、60年と伐期を迎えているものが多い」(村の担当者)。しかし、村の人口は約2千人で、林業経営をする団体や個人は約10。山林を1㌶以上保有する林家が200戸ほど。ほかの山間部同様、林業の担い手は限られている。

 そんななか、村の活性化に生かす取り組みとして進められている木製のおもちゃ開発は産官学が連携する、村と、桜美林学園、東京チェンソーズ(檜原村)が協力する。

 東京チェンソーズは村の地元の林業会社。建築材料として加工・流通しない根元や枝、葉を含めた「1本まるごと販売」や、デザイナーと協力した木材製品の開発・販売にも取り組んでいる。

 同社の広報担当者は「桜美林大学の先生のもとでプロダクトデザインを学ぶ学生にデザインしてもらって、市場のニーズに合致したより広く売れるものをつくり、来春には販売したい」と話す。桜美林の学生たちが村でフィールド調査や幼児施設を訪ねてニーズ分析を行い、おもちゃのアイデアに生かす予定という。

 木製のおもちゃ開発は今春から3カ年の計画。まずは来春を一つのめどとし、さらに25年、26年の春にも開発した製品を投入していきたいという。村の担当者は「おもちゃ美術館の売店でも販売するほか、関東近郊の保育園や幼稚園に販路を広げていければ」と意気込む。

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おもちゃ美術館の隣にある、おもちゃ工房=同

 村の担当者によると、ドイツで木のおもちゃづくりに取り組む地域があると、林業関係者から紹介があったのがきっかけ。それが14年の「檜原村トイ・ビレッジ構想」の検討開始につながった。

 21年秋開館のおもちゃ美術館に先立ち、隣接地では19年、おもちゃ工房が活動を始めた。工房を東京チェンソーズに委ね、製造を担当している。おもちゃ美術館では、おもちゃで遊ぶことができるほか、その約6割は販売もしている。

 木のおもちゃを通じて、子どもたちが楽しみながら、村の自然に触れる。エコツーリズムと地場産業の活性化を目指す。取り組みは本格化したばかりだ。

 

 (浅井秀樹)

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