日本アルプス 四季を旅する

季節の狭間

 例年10月中旬から下旬にかけて冬型の気圧配置が強まると、標高3000m前後のアルプスの稜線では降雪がある。

 寒気が抜けた翌日を狙い、冠雪した穂高岳と紅葉を撮影するため、上高地から岳沢へ向かった。朝一番の開門とともに上高地に入る。河童橋に立つと、秋晴れの青空の下、白く雪をまとった穂高岳連峰が目に飛び込んできた。これから待つ景色を思い描き、心が躍る。

 道中視界の開けた場所で撮影をしようとしたとき、降雪と冷え込みのせいか、草木に霜の結晶が付着しているのが目に留まった。岩には目視ではわからない薄氷も張っている。日陰でもあり足元は滑りやすくとても不安定。季節は確実に冬へと向かっていることを実感しながら足を進める。

 岳沢小屋に着き休憩と食事をしていると、山体全体に光が回り始めた。荒々しい岩稜には新雪が輝き、その下へ目を移すと、落葉したダケカンバなどの白い幹が目立ち、そして紅や黄色に染まった樹々の光景が広がっている。

 冬の白と秋の彩り、季節の移ろいの狭間を垣間見ることができた。

 撮影地:長野県松本市

 (大島隆義)

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