日本アルプス 四季を旅する

錦秋到来

 アルプスでは、9月下旬を迎えると標高の高い場所から秋の色づきが始まる。昨年(2025年)の中央アルプスは例年にないほど鮮やかで、ナナカマドの赤やダケカンバの黄が山肌を美しく彩っていた。

 撮影を開始した頃は薄い曇り空だったが、歩を進めるうちに次第に雲が晴れ、青空が広がってきた。光が差し込むと紅葉は一段と輝きを増した。赤と黄色、そこにハイマツの深緑と空の青が加わり、まさに「錦秋」と呼ぶにふさわしい光景となった。

 その奥にそびえるのは、険しい岩峰を連ねる宝剣岳。前景に茂る鮮やかな樹々との対比、アルプスならではの空気感、そして圧倒的なスケール感。それらを表現できる場所を見つけて、何度もシャッターを切った。二度と出会えないかもしれない最高の条件を撮り逃がすまいと、夢中でファインダーを覗き続けた。

 天候の変化によって、刻々と表情を変える山の風景。その瞬間瞬間は、まさに一期一会だ。だからこそ、「いま、この場所にいること」の尊さと大切さを、改めて深く実感させられる山行となった。

 撮影地:長野県宮田村

 (大島隆義)

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