日本アルプス 四季を旅する

樹々で感じる標高と季節感

 中央アルプス主稜線の最南端に位置する越百山(こすもやま)へ入山。長い林道が続き、さらに長い樹林帯の登りがひたすら続くルートだ。登山口の標高がそれほど高くないことと、猛暑を考慮し、昼までに山小屋へ到着することを目標に、夜明けと同時に出発した。

 林道の樹々は濃い緑色というより、猛暑のせいかやや色褪せ気味にみえた。だが標高が上がるにつれ緑も鮮やかさが増し、気温や環境の違いを感じ取りながら足を進めた。

 山小屋は稜線上ではなく標高2300m付近の樹林帯の中にひっそりと立つ。ここから稜線や山頂まではまだ一踏ん張りが必要だ。ちょうどそのあたりから針葉樹のシラビソや広葉樹のダケカンバなどが入り交じり、より一層緑は鮮やかに見えた。

 夕景を撮影しようと山頂を目指し山小屋を出ると、霧に包まれはじめた。視界は悪くなったが、そのおかげでシラビソの幹だけが目立ち、幻想的な雰囲気だ。そんな中、低い位置から枝が扇状に伸びた樹を見つけた。広がる小枝の葉の先端からは蛍光色のような色鮮やかな新芽が芽吹いている。

 湿り気を含んだ空気の中、瑞々しい新芽の表情に新たな生命の息吹を感じながらシャッターを切った。

 撮影地:長野県大桑村

 (大島隆義)

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