日本アルプス 四季を旅する
山と雲と天気

6月の中旬から約1ヶ月間、日本アルプスは梅雨の時期に入る。富士山に次ぐ日本第2位の高峰である南アルプスの北岳に入山した。天気予報はハッキリしないが、稜線では半分位予報はあてにならないので上がってみるしかない。
近年の梅雨は短時間で多量の雨を降らせ、その雨水は土壌で吸収できずに山肌を削ってしまったり、登山道を崩壊させてしまったりと、災害をもたらす気象時期に変わりつつあるようにも感じる。年間雨量は多いとしても、山はその雨水を深く土壌に吸収できるのだろうか?と疑問にも思う。それは何十年後かには、湧き水から河川となり、我々の生活にも関わってくるからだ。
アルプスの稜線は岩や砂地と痩せた地がほとんどで、その岩などを伝って雨水は地中へ浸透していく。だが、森林限界より上の高山帯にハイマツや高山植物が生育するのは雨のおかげだけではない。霧や雲といった空気中の水分の存在があるからだ。植物たちは自らにたくさんの水滴を付着させ、少しでもと吸収し、厳しい環境下で生きている。
シラビソ越しに雲海が広がり遠く富士が頭を出していた朝。山を撮る者にとって雲はドラマティックな光景を生み出す演出のような存在に過ぎないかもしれないが、植物たちにとっては命をつなぐ大事な存在なのだ。
撮影地:山梨県南アルプス市
(大島隆義)

