日本アルプス 四季を旅する

春爛漫

 

 今年も桜の季節がやってきた。近年「桜前線」という言葉をあまり聞かなくなった。主に地球温暖化に伴う開花サイクルの変化で、南から北へ順に開花することがなくなった。気象庁が観測するソメイヨシノなどの標本木において、今年は高知市と岐阜市、山梨県甲府市が同日で最も早かった。東京(靖国神社)が一番早い年もある。

 また各地でも開花し始めると一気に咲き進み、目的としていた数ヶ所の桜が同時期に咲いてしまい、撮影をして巡るのも慌ただしいこの頃だ。

 そんな中、今回は北アルプス立山連峰の剱岳(つるぎだけ)と桜を撮るため、富山県に向かった。剱岳への直登ルートである早月尾根の登山口がある馬場島(ばんばじま)に向かう途中に目的地がある。2007年に地元の方々によって植樹されたまだ若い樹々だが、本数も多く見応えのある桜の花園が広がり、前年の積雪量と開花までの日和次第で桜の根元にも残雪が残る雪中桜も撮影できる。

 晴れた青空に残雪の剱岳が間近に迫り、満開に咲く桜が彩りを添えてくれる風景は圧巻だ。ただしその撮影条件は単純ではない。午前は山が逆光となり、午後になると画面上部に配置したいサクラの木が早くも陰ってしまう。そして日中は霞みやすい。

 幸いにもこの日は、なんとか青空が維持されて納得のいく撮影ができ、次の目的地へと向かった。

 撮影地:富山県上市町

 (大島隆義)

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