日本アルプス 四季を旅する
冬化粧のオオシラビソ

10~11月、夏山シーズンの営業期間終了間近の燕山荘(えんざんそう)に泊まっての燕岳(つばくろだけ)山行は、自分の活動にとってここ数年恒例となっている。それより後の時期は登山口までの林道も通行止めとなり、稜線までのアクセスがさらに遠くなる。
前日の寒波で稜線は降雪したとの情報があった。山小屋を未明に出発することにした。近年は降雪も少なく登山口からアイゼンを履かずにすむが、足元と身体辺りの気温差は大きく、服装は汗冷えに気をつけないといけない。
道中、周囲はまだ真っ暗だが、ヘッドライトの灯りが当たると樹々がキラキラと輝き霧氷や雪がついていることがわかり、これから出合う風景への期待が膨らむ。
急な尾根の登りも終えるころ、夜明けが始まり東の空が明るくなり始めた。森林限界に近い合戦沢の頭(約2490m)のやや手前で朝日を迎え、赤く染まった北アルプスの稜線と樹林を撮影できた。朝焼けの撮影を堪能した後、あちこちで霧氷の樹々を撮影したが、特にオオシラビソの葉に付着した氷の結晶が宝飾のようにきれいだった。
雪と氷に閉ざされる季節になる前の、繊細な自然の表情を垣間見た。
撮影地:長野県安曇野市
(大島隆義)

