日本アルプス 四季を旅する

黄葉輝くカラマツ林

 南アルプス塩見岳へのルートで、その途中にある日本一高い峠の三伏峠を訪れた時のこと。

 長野県大鹿村内の林道鳥倉線から入山した。10月に入るとアルプスの稜線はもう冬の季節だ。中腹や麓は紅葉の樹々が色鮮やかで、稜線に雪が降れば、そのコントラストが素晴らしい景観を見せてくれる。

 林道を歩きながら周囲の景色を眺めていると、標高1500mから2000mあたりまでの紅葉の色付きが美しかった。1時間ほどで登山口へ到着し、更にゆっくりと登る。あたりは一直線に伸びた幹の姿が美しく立ち並ぶカラマツ林だ。その姿はお互いが上へ上へと目指し、伸び競っているように見えた。

 見上げると幹の上部では枝が放射状に広がり、すっきりと晴れた青空が林冠の隙間から見えている。周囲はまだ日陰で薄暗かったが、ちょうど日の光が差し込み始めるタイミングとなり、カラマツの黄葉が黄金色に輝き始めた。
【撮影地】

長野県大鹿村

(大島隆義)

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