日本アルプス 四季を旅する

秋の訪れを感じて

 

 標高3000m級の山々が連なる日本アルプスでは、9月の中頃以降、標高の高いところから順に草木が色づき始め、紅葉の時期が訪れる。山々は1年で最も色彩豊かな姿となる。

 紅葉の色づきは、気温や日照時間、夏場の暑さや台風、雨量や直前の冷え込み方など、様々な気象条件に影響を受けるので、同じ場所でもその年によって美しい色彩を見せてくれるかどうかはわからない。

 降雪積雪の減少でも感じることだが、紅葉の色づき具合をほんの10年前と比較しても、地球温暖化を顕著に感じてしまう。

 9月中旬に中央アルプスの檜尾岳を訪れた。主稜線は森林限界のため、紅葉で代表的なナナカマドやダケカンバは眼下で色づく準備中といったところだ。

 西側にそびえる三沢岳を取り巻くように雲が湧き出してきた。前景には常緑樹であるハイマツとまだあまり紅葉していないガンコウランの緑のなかに、ウラシマツツジやクロマメノキが赤く色づき、夏には黄色い花を咲かせるミヤマダイコンソウの大きな葉が赤く染まっている。

 緑と赤の豊かな色彩と湧き立つ雲海。秋らしい風景を撮り収めることができた。

 【撮影地】長野県大桑村

 (大島隆義)

 

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