日本アルプス 四季を旅する

ナナカマドの花々と夜空の銀河

 梅雨真っ只中の7月初旬は天気が読みにくい時季ではあるが、穂高岳を撮影するため梅雨晴れを狙い、上高地から入山した。上高地バスターミナルでバスを下車し15分ほど歩くと、観光名所でもある河童橋に到着する。橋からは穂高連峰の雄大な姿を臨むことができて、これから登ることの期待感が膨らむ。

 雲ひとつない青空に深緑の樹々が映え、梓川の清らかな流れは眩しいほどだ。清々しい夏の朝を感じながら初日の目的地である涸沢ヒュッテのテント場へと向かう。

 涸沢といえば秋の紅葉が有名でナナカマドがたくさん自生しているが、この時季は可憐な白い花を咲かせていた。翌朝の撮影のためと、夜も天気がよければナナカマドの花と天の川を絡めての撮影を想定し、辺りをロケハンする。

 深夜テントから顔を出すと頭上には一面の星空が広がり、残雪の穂高連峰の向こうには天の川が真っ直ぐに立つように光り輝いていた。幸いにも無風で、暗闇のなかに咲くナナカマドの花が地上の星のようにちりばめられた姿を、撮影することができた。

 【撮影地】 長野県松本市

 (大島隆義)

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