日本アルプス 四季を旅する
花咲く稜線
北岳は南アルプス(赤石山脈)に位置し、標高3193メートル。富士山に次ぐ日本第2位の高さを誇り、この連載のメインタイトル「日本アルプス」の最高峰でもある。北岳・間ノ岳・農鳥岳が南アルプスの北部に連なり、それら三山を白峰三山(しらねさんざん)とも称する。
6月の中旬、広河原から入山する。ブナやシラビソ、ダケカンバなどの豊かな緑の中で森林浴をしながらの、累積標高がおよそ1800メートルになる長い登山だ。中腹あたりからは山野草や高山植物の花々が随所に見られる。稜線に上がると北岳固有種のキタダケソウなどが咲きはじめており、標高の高いところでは山岳地帯に自生するタカネザクラも咲いていた。特にこの時期はハクサンイチゲの群落が各所にあり、まさに花の楽園だ。
山行最終日は好天に恵まれ、チョウノスケソウ(白)やオヤマノエンドウ(紫色)などの花々を前景に雲の向こうの間ノ岳を撮影。花と南アルプスの大きな山塊を堪能できた山行だった。
【撮影地】
山梨県南アルプス市 北岳
(大島隆義)