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鳥獣害対策「専門家育成を」 研究者ら、体制づくりを提言

 シカやイノシシなど野生動物による農業などへの被害が深刻化している。それに対し、環境団体による新たな対策や、専門家らによる提言が出始めた。
 NGO日本自然保護協会などは、今秋、群馬県で、高度な訓練を受けた射手によるシカの猟銃捕獲「シャープシューティング」を始める。この地域ではシカは増える一方だが、まだ高密度化はしていない。早めの捕獲で個体数を管理し、生態系を健全な状態に保つのが狙いだ。担当者は「保護団体がやることで、自然の保護に必要だという理解が広まれば」と期待する。
 また、研究者や鳥獣害対策企業の役員らでつくる野生動物管理全国協議会(会長=梶光一・東京農工大教授)は7月、鳥獣害対策への提言をまとめた。
 提言では、被害対策や個体数管理では、趣味の狩りとは別に、高度な技術や知識を持つ専門家の育成が必要と強調。その質を担保するための審査のような仕組みや、人材育成のための教育体制づくりが重要だと指摘している。
 鳥獣害をめぐっては、捕まえたシカやイノシシをジビエとして活用するための会議が政府内に立ち上がるなど、「出口論」が先行気味だ。同協議会副会長の鈴木正嗣・岐阜大教授は「適切な野生動物管理の担い手をどう確保していくのかという現場、入り口に軸足を置いた議論が不可欠だ」と話す。生態系管理や野生動物の専門家らによるこうした取り組みも参考になりそうだ。

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