ニュースピックアップ
ニュースピックアップ

北方ユーラシアの林野火災による影響は想定以上

地球温暖化に影響するブラックカーボン粒子の主要発生源の一つである、北方ユーラシア(ロシア及びカザフスタン)の林野火災に関する焼失面積を精密に評価したところ、耕作地で大幅な過小評価となっていることを見出した。これにより、林野火災による気候や環境への影響は、現在の想定以上である可能性を指摘した。

 

今回の解析では、北極海の夏の海氷面積が歴史的に最小となった2012年について、北方ユーラシアの6つの植生タイプ(耕作地・草地・混合林・落葉針葉林など)を12地域について初めて網羅的に検証した。その際、超高解像度(解像度2-5 m程度)の3種類の商用衛星からの画像を初めて本格的に取り入れ、従来用いられてきた中解像度(解像度500 m)の衛星の焼失面積を精密に評価した。

 

その結果、従来法では100 ha以下の小規模火災を検出できていない場合が多く、とくに耕作地では真の焼失面積の13%しか検出できず、87%の焼失地域が未評価だった。耕作地の火災の大部分は人為的な野焼きが原因であり、個々の火災が小規模で、中解像度の衛星センサでは検出されにくいためだ。100 ha以下の火災を検出できない傾向は、草地や混合林、落葉針葉樹林などでも見られた。これにより、焼失面積やブラックカーボン等の汚染物質排出量に大幅な上方修正が必要であり、今後は、この成果を地球温暖化モデルシミュレーション等にも反映することが求められる。

PAGE TOP