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温暖化、アジア・太平洋への影響は 外務省報告書

 地球温暖化がアジア・太平洋地域にもたらす影響について、安全保障リスクやインフラ整備に要する財政負担などが増す恐れがあると指摘する報告書を、外務省がまとめた。6日にも公表、この秋にイタリアであるG7(主要7カ国)の作業部会に提出し、対策や途上国支援に役立てる。

 ■インフラ整備、財政負担増す恐れ/不法移民増加、安全保障リスクに
 昨年のG7外相会合で、温暖化の悪影響の受けやすさについて、リスク評価や低減に向けた行動をとることが確認された。
 温暖化が進む最悪のケースでは21世紀末にアジア・太平洋のほとんどの地域で、月平均気温が2度以上上昇。特に、南アジアや東南アジア、太平洋の島国に様々なリスクが集中する。インダス川やメコン川などの流域では降水量や洪水が増え、地域が浸水する頻度、面積、期間が悪化する。
 温暖化の影響に加え、これらの地域では都市への人口流入が加速。インフラ整備の遅れや少子高齢化、社会格差の拡大などの課題も抱え、気象災害の影響を受けやすいと指摘した。
 また、今後の温暖化対策のインフラ整備で、財政負担がより重くなる恐れが増大。働き口や安全を求める人の国境を越えた移動が増え、不法移民など安全保障上のリスクとなりかねないとしている。
 報告書は社会的弱者への支援や、リスクの高い地域への居住を避ける都市化、生態系の維持・回復なども考慮して被害を抑える「適応策」を検討することが不可欠と結論づけた。
 
 ■温暖化がアジア・太平洋地域に与える影響(外務省報告書による)
 【気候変動リスク】
<雨量や洪水の増加、強力な台風> 南アジア、東南アジア
<海面上昇や高潮の影響> 太平洋の島国、南アジア、東南アジア
<農業生産の不安定化> 東南アジア
<熱波> 南アジア、東南アジア
 【社会・経済的リスク】
<人口過剰や都市の生活悪化> 南アジア、東南アジア
<移民の増加> 太平洋の島国
<経済格差> 太平洋の島国、東南アジア
<食料価格の不安定化> 太平洋の島国、東南アジア
<異常気象に備える財源の不足> 太平洋の島国
<情報化と情報格差> 太平洋の島国

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